
土壌くん蒸用バリアフィルムの使い方は、大きく2通りあります。1つ目の方法は、露地栽培用に使用する方法、もう一つの方法はハウス栽培で使用する方法です。
露地栽培
露地栽培で、土壌くん蒸処理を行う方法は2通りあります。
- マルチ畦内処理
- 圃場全面処理
マルチ畦内処理
この方法は、畦立てしながらくん蒸剤を土壌中に灌注し、直後にバリアフィルムで被覆する方法です(マルチ畦内処理)。この方法はトラクターの後ろに灌注機を取り付け、土壌くん蒸剤を土壌中に灌注しながら、畦立てし被覆するため、土壌くん蒸剤の大気中へ漏えいを低減することが出来ます。また、くん蒸処理作業時の作業者への曝露を低減することが出来ます。
注意点としては、
- くん蒸剤が途中で無くなったことに気付かないで処理し続けてしまう事。
- フィルムに穴を開けてしまう事。
- くん蒸処理スタート時(畦立て開始時)/終了時のフィルムの仕舞をきちんとすること。
特に1. のくん蒸剤が無くなっているのに気付かずに処理し続けてしまうことはよくありますので注意して下さい。
この方法では、畦と畦の間がくん蒸処理されない箇所が出来るため、病原菌や虫の残存リスクが残ります。
圃場全面処理
圃場全面をくん蒸処理しながら、圃場全面にフィルムを被覆していく方法です。この方法は先の畦立てしながらくん蒸処理する方法と途中までは同じです。
- 圃場の端部を処理する時、片方だけ(圃場の端っこの方)を土を寄せながらフィルムを押さえながら処理していきます。
- 次に、処理した隣の箇所をくん蒸処理する時、押さえていない箇所を接着剤で貼り合わせながらくん蒸処理を行っていきます。
- 2. の作業を繰り返し、圃場全体のくん蒸処理を行います。この方法では、圃場全体がくん蒸処理されるため処理した箇所、処理していない箇所が混在することはありません。重なりあうフィルムの接着が不十分だと、その部分からくん蒸剤が漏れてしまうため確実に接着させる必要があります。
アメリカのような、大規模な農場では複数台の大型のくん蒸処理装置が並んで一斉にくん蒸処理を行い、圃場全面にバリアフィルムを被覆しています。