
露地栽培では病気が発生した時、育てる植物を変えたり(転作)、ある一定期間土地を休ませながら病害虫へ対応をすることが出来ます。しかし、ハウス栽培では場所を移動させたり、土地を休ませたりすることは出来ません。そのため、土壌病害への対策としてハウス内の土壌の管理、ハウス周辺も含めた衛生性管理、栽培期間中の植物への観察などが重要となってきます。
ここでは、ハウス内での土壌くん蒸処理を効果的に行うのに効果的な被覆フィルムの使い方をご紹介します。
ハウス栽培の場合、露地栽培と同様に灌注機(手押し式、自走式)で土壌中にくん蒸剤を灌注します。
ハウス内部全面に処理が終わったあと、速やかに被覆フィルムをハウス内部全面に被覆します。
フィルムの繰出し機(少人数で作業するには便利)
その時、フィルムをひっかけたり、強く引っ張ったりして破らないように注意しましょう。フィルム全体にシワや折れ曲がりが無いようにフィルムを展張してください。
フィルムを展張したら、ハウス内部の周に沿ってダクトチューブ(ポリエチレン製、折径20cmくらい)を、ねじれないように注意しながら、フィルムの端部の上に置いていきます。
ダクトチューブの設置が終わったらダクトチューブ内に水を充満させていきます。この時、ダクトチューブが捻じれないように注意し、チューブ内部に気泡が含まないように水を充満させるようにしてください。
また、水を充満したダクトチューブをハウスの骨組み、支柱や止めるネジなどにひっかけると、穴が開いてしまい、水が漏れてしまいます。ダクトチューブ設置の際はハウス内部のでっぱりに注意して、穴を開けないように注意してください。
ダクトチューブ
ダクトチューブで被覆フィルムの端部(はしっこ)を押さえるのには理由があります。
- ダクトチューブは中に水が充満されると、ハウス内部の地面の形状に追従して形が変わります。どんなに整地しても、表面の凹凸をなくすことは難しいです。
- ダクトチューブに水を入れると幅を持った筒状になります。フィルムの端部をしっかりと地表面と設置させ、くん蒸剤を外に逃がさないようにするために、押さえる幅も重要になります。折径20cmのダクトチューブですと、水の充満量にもよりますが、ダクトチューブの幅は10cmくらいになり、設置幅10cmが確保出来ます。
- フィルムの端部は隙間なく押さえることが重要です。フィルムの端部を間隔を置いて、おもり(砂の入った袋や鉄パイプなど)で押さえる場合、押さえていない箇所からくん蒸剤が漏れてしまいます。そうなると、折角フィルムで被覆しても被覆効果はありません。連続してフィルム端部を押さえ、ガス化したくん蒸剤が土壌中から漏れ出るのを防ぎます。